自律走行車の安全性の未来
自律走行車の安全性評価とトレーニングの備え
自律走行車は今日、消費者にとって現実のものとなりつつあります。ULは安全な自律走行車の開発と評価のための一貫したアプローチを提供し、フレームワークの構築を支援します。
自動車業界は、最新のコンシューマー・テクノロジーと利便性を統合することで、常にドライビング・エクスペリエンスの向上を試みてきました。革新的な情報システム、ナビゲーションシステム、車載用Wi-Fi/コネクティビティ、充実したエンターテインメント機器などは、最新モデルに搭載されている機能のほんの一例にすぎません。
しかし、自動車メーカーは、利便性だけに目を向けているのではありません。AIテクノロジーが日常生活に浸透してきたことで、自動運転、または自律走行車の活用が、消費者にとって現実のものとなりつつあります。その一方で、車載システムの進化とともにに、自動運転特有の安全上の潜在的な課題をもたらしています。
これらに対処するため、ULの親会社であるUnderwriters Laboratoriesが公開したのが、自律走行製品の安全評価規格である「UL 4600」です。並行して、ULは、自律走行車の開発や自律走行の安全性に関する継続的な安全文化の構築を支援するトレーニングプログラムを開発しました。
自律走行車の安全の基盤づくり
2019年に自動運転のガイダンスを提供するISO / PAS 21448:2019がリリースされましたが、この規格は、SAE J3016の定義によるレベル2およびレベル3の自動運転、すなわち、ドライバーによる制御を伴う自動運転を対象としていました。現在、ISO 21448はドラフト策定段階(DIS)にあり、SAE J3016の定義によるレベル4および完全自動運転のレベルに対応するための進化を続けています。
SAE インターナショナル(旧・米国自動車技術者協会)そして国際電気標準会議(IEC)でも、自律走行車の安全性に関するガイダンスの策定が進められていますが、規格統一には至っていません。
自律走行車の安全に関わる産業が成長を続けるにつれ、新たな安全規格の策定が必要となり、これに業界は既存の規格をどのように適応させて将来の計画を立てるか決めなければなりません。
既存のプロセスとレガシー・プロセスをどのように適応させることができるのか。既存の規格間のギャップは埋めることができるのか。今後の技術開発は取り扱われるのか。
Underwriters Laboratoriesのプログラムマネージャーであり、UL 4600規格策定パネルの議長を務めるデボラ・プリンスは、最近、日本規格協会(JSA)と共同開催したUL 4600に関するウェビナーで、「既存の自動運転規格を取り入れ、それらすべてを一つの傘下に収めることが重要である」と述べています。
UL 4600は、完全自律走行車を対象とした最初の規格であり、国際標準化機構(ISO)、SAE、IECの関連規格に加えて、自律走行車の安全に関するガイダンスを提供するための一貫したアプローチとフレームワークを構築しています。また、技術は進化を続け、また第三者や評価者による検証が進むにつれ、自律走行車の安全性も促進します。
自律走行車の安全に関するトレーニング
ULは、安全への取り組みは規格開発にとどまるものでないことを認識しています。ULでは、UL 4600に基づくUL自動運転安全プロフェッショナル資格認定制度(UL-CASP)を提供しています。この継続教育カリキュラムは、自律走行車の開発を中心とした安全文化の構築に役立ちます。また以下の方々にとって最適なトレーニング内容になっています。
- 自動車用純正部品メーカーおよびサプライヤー
- 政府機関
- 試験およびバリデーションエンジニア
- プロジェクトリーダーおよび製品リーダー
- コンプライアンスエンジニア
- 自動運転のハードウェア及びソフトウェア開発者
- シミュレーションエンジニア
このトレーニングは、先進運転支援システム(ADAS)や自律走行車の検証活動に携わる方にも有益です。
未来に向かって
ULのエキスパートの活動は、自動車やサイバーセキュリティを含む広範な領域に及び、業界固有のギャップやニーズを把握しています。そしてULの自律走行車への取り組みは、以下のように広く受け入れられています。
- 米国運輸省道路交通安全局(NHTSA)の参照規格
- SAEとの自律走行車の安全規格開発に関する覚書締結
- 世界の規制マップに掲載
ULは、その業界知識をサービスに反映させることで、安全な自律走行車の開発と教育を世界的に支援しています。UL機能安全エンジニアリング・マネージャー兼UL 4600のUL-CASPトレーナーであるニコラス・アレクシアデスは、「当社は、UL 4600規格の開発においてThought Leadershipを発揮し、業界に安全を推進していきます。自動運転の安全性に関する当社の目標は、技術が安全で、一貫性があり、信頼できるものであることを立証するための強固なセーフティケースを通じて、メーカーと消費者の信頼を確立することです」と述べています。
トレーニングの詳細については、UL担当者までお問い合わせください。