より安全性の高い自律走行車の製造および実装のためには、関連規格の把握と正しい解釈、適用が重要です。

自律走行車の安全技術におけるイノベーションを推進

自律走行車の技術の進歩は、通勤者、運送業者、シェアードモビリティプロバイダーに大きな変化をもたらし、路上における交通事故による死亡者を大幅に低減できる可能性を秘めています。このような確かなメリットがある一方で、企業毎に様々なアルゴリズムが開発されるなど、完全自動運転技術の複雑さもあり、安全性の確保が課題となっています。また、テクノロジーに対する信頼の獲得には至っていないのが現状です。

ソフトウェアおよびシステムの機能安全に関わる重要な決定を伴う革新的技術の導入では、安全性の確保が特に重要になります。イノベーターが複雑性に対処し、自律走行技術に対する信頼を築くためには、安全にかかわる業界標準の深い理解とそれに沿った対応が不可欠となるでしょう。

自律走行車の安全規格

自律走行技術はソフトウェア、電気、従来の機械システムといった領域をまたいで開発されるため、自動運転のさまざまなレベルでの安全性に対処するためには、多くの既存規格および新たな業界のベストプラクティスを考慮する必要があります。

ANSI/UL 4600, the standard for safety for the evaluation of autonomous products (自律走行製品評価の安全規格)

ULエンタープライズの非営利組織であるUL Standards & Engagementは、業界の専門家やイノベーターとの協力の下、人間の運転手による監督を伴わない自律走行製品、すなわち完全に自律的に走行する車両を評価するための安全に関する原則とプロセスを規定したUL 4600を開発し、発行しました。このセーフティケース・アプローチは、技術の急速な進歩をサポートしながら、安全性確保のために必要な柔軟性を提供します。

ISO 26262：Road vehicles – Functional safety (自動車 – 機能安全)

ISO 26262は、車両の安全にかかわる電気・電子 (E/E) システムに適用される自動車規格です。E/Eシステムの誤動作やバグが原因でシステム障害が発生した場合の機能安全にフォーカスしており、自動運転の安全性を推進する上で重要な要素となっています。

ISO 21488: Road vehicles – Safety of the intended functionality (自動車 – 意図した機能の安全性)

ISO 21448 (SOTIF: 意図した機能の安全性) は、ISO 26262で扱っているような故障が起こることのないシステムにおいて、意図した機能が原因となる不合理な危険について定めた規格です。この規格は、高度な運転支援システムおよび緊急介入システムに適用されます。また、ISO 21488は、ISO 26262を補完する一方で別の規格であり、SAE InternationalのJ3016で定義される様々なレベルの自動化への対応を検討できるが、より高度な自動化に対してはSOTIFに対応するための追加措置が必要となる場合があります。

ISO/SAE 21434: Automotive cybersecurity (自動車サイバーセキュリティ)

ISO/SAE 21434は、自動車のコンポーネントとインターフェイスを含むサイバーセキュリティリスクマネジメントの要求事項を規定しています。ISO 21434は、コンセプト、設計、開発、生産から運用、保守、廃棄まで、製品のライフサイクルをカバーしており、サイバー攻撃に対する脆弱性を低減するために不可欠なものです。

自律走行車向けサービス

UL Solutionsでは、複雑な自律走行車の安全性の確保をサポートするためのトレーニングやアドバイザリーサービスを提供しております。

• UL 4600、ISO 26262、ISO 21448など、関連する安全規格やベストプラクティスの解釈、適用に関する知見の獲得
• ISO 21434に関連するセキュリティプロトコルの理解
• こうした規格を開発プログラムへどう実装していくかの検討
• 自動運転車の安全性をサポートするセーフティーケースの策定支援 (kVA by ULが実施いたします)
• 自律走行車のEnd-to-Endの検証と妥当性確認の評価
• 運行設計領域 (ODD) の理解

自律走行車の安全性確保のための信頼できるパートナーとして

UL Solutionsでは、自動車メーカーやサプライヤー様が、既存規格や新しい安全規格、ベストプラクティスの複雑さに対処し、革新的な自動車技術を採用するためのサポートを行っています。この変革の時代において、お客様の成功を支援する弊社の包括的なトレーニング・アドバイザリーサービスを是非ご活用ください。高度な専門知識とグローバルな事業展開により、自律走行技術の世界市場への投入を支援します。