基礎からわかる「CHAdeMO (チャデモ) とは」
CHAdeMOって何?どのように活用されているの?といった疑問をお持ちの方や、電気自動車 (EV) 急速充電にかかわる試験の概要を知りたい方に向けて、基礎からわかりやすく解説いたします。
- CHAdeMOとは?
- EVの普通充電と急速充電
- CHAdeMO仕様について
- CHAdeMO仕様に基づく検定
- EVと急速充電器の互換性を確認する「CHAdeMO EV-急速充電器 マッチング試験」
- マッチング試験のテスト方法
- EVの普及に欠かせない充電器のインフラ整備の状況
CHAdeMOとは?
「CHAdeMO」は、日本発の世界基準である電気自動車 (EV) 用急速充電規格の登録商標です。また技術開発と充電インフラの普及の活動を行う団体の名称 (CHAdeMO協議会) でもあります。
因みに、この「CHAdeMO」には
- CHArge de MOve: 動く、進むためのチャージ
- de: 電気
- クルマの充電中にお茶でもどうですか?
という3つの意味が含まれています。
CHAdeMO協議会は、急速充電方式の推進と技術や知見の共有を図る目的で2010年に設立されました。以降、「子供たちの笑顔のためにZERO エミッション・モビリティを実現」というビジョンと、「安全で利便性の高い充電技術の普及」というミッションのもと、現在の充電インフラの基礎となる数々の製品を世に送り出し、世界51か国500を超える企業や団体からなるメンバーとともに、EV利用者が安心して利用できる様、規格の開発や相互運用可能な充電システムの提供、大出力化に対応する技術開発、世界のEV普及推進など、様々な活動を行っている団体です。
詳しくはCHAdeMO協議会のウェブサイトをご参照ください。
ここからは、CHAdeMO仕様と各種試験を中心にご紹介します。
EVの普通充電と急速充電
はじめに、普通充電と急速充電について少し触れておきます。EVの充電方法には、普通充電と急速充電があります。普通充電は「基礎充電」とも呼ばれ、交流 (AC) 電流を使用します。主に戸建て住宅や集合住宅など、長時間駐車しておく場合に使用されます。一方、急速充電は「経路充電」とも呼ばれ、直流 (DC) を使用します。主に外出中に短時間で充電する場合に使用されます。短時間で充電を行う急速充電には、より複雑で高度な技術と安全性が求められ、急速充電用の充電器を扱う企業にとって、CHAdeMOが定める安全基準を満たしていることは非常に重要です。
CHAdeMO仕様について
このように、EVの充電方法には、普通充電と急速充電がありますが、CHAdeMOはEV急速充電に用いられます。国際的にも認められており、現在、CHAdeMOは国際標準規格として IEC & EN (61851-23、61851-24、62196-3) ならびにIEEE (2030.1.1) から発行されています。
日本で販売されるEVについては、一部を除き、ほぼ全ての車種がCHAdeMOの仕様に対応しています。厳格に定められた安全基準が確認されているため、EVの所有者は日本全国どの地域であっても、自動車ディーラーやコンビニ、商業施設、ガソリンスタンドなど、様々な充電スポットにおいて、安心して充電することが可能になっています。
CHAdeMOの初版発行は、世界でEVが普及し始めた2010年に遡ります。この年の4月、世界に先駆けて急速充電器の基本を定めた仕様書CHAdeMO ver.0.9 が発行されました。その後、2012年に車両保護機能などを追加したver.1.0、2015年にはダイナミックコントロール機能などを追加したver.1.1、2017年には最大電流を400Aに拡張する等の変更が加えられたver.1.2、そして、2018年には最大電圧の拡張および最大出力400kWを可能にしたver.2.0 を発表するなど、最新の技術とニーズに呼応しながら改定を続けています。
CHAdeMOの仕様書では「充電方式 (DC専用)」「通信方式 (CAN: Controller Area Network)」「車両コネクタ (充電器側の形状)」「車両インレット (車両側の形状)」をはじめ、主に電気安全に関する要件、充電に必要な機能、充電性能、システム要件が規定されています。
次に仕様書に基づく試験について解説します。
CHAdeMO仕様に基づく検定
CHAdeMO検定試験は、DC急速充電器がCHAdeMO仕様書で定められている安全基準を満たし、CHAdeMO仕様のすべてのEVと互換性があることを確認する検定です。
CHAdeMO検定では、製造者が自社で確認する「自己申告」の試験と、「プロトコル試験」があります。検定は、全ての製品や企業への公平で中立な認証を行うにあたり、CHAdeMO協議会が委託、任命した第三者登録検定機関にて実施する必要があります。2024年現在、株式会社UL Japanをはじめとする10機関で検定試験が可能です。
製造者から提出された自己申告書は、検定機関により宣言の妥当性がレビューされます。プロトコル試験では、CPT (CHAdeMO Protocol Test tool) という機器を使用して、機器が、定められたプロトコルどおりに動作するかを確認します。すべての自己申告書のレビュー、プロトコル試験を完了し、準拠が確認できた充電器には、CHAdeMOロゴマークを貼付することが認められています。
EVと急速充電器の互換性を確認する「CHAdeMO EV-急速充電器 マッチング試験」
現在では、EVのラインアップが増え、様々なメーカー、バージョンの急速充電器が存在します。消費者の選択肢や利便性が高まる一方で、「EVとCHAdeMO急速充電器との互換性による不具合により、充電ができない」といった課題がありました。
マッチング試験のテスト方法
マッチングテストでは、CHAdeMO「チェックリスト表2」に基づいた試験を実施し、測定器を用いてデータを取得します。具体的には、EV車両と充電器の組み合わせに対して、①通常充電 ②通常停止 ③2回目の通常充電 (おかわり充電とも呼ばれる) ④模擬的な地絡の発生 という一連の操作を実施し、下記を確認します。
- 車両コンタクタ (車両のパワーラインのOn/Offを行う装置) の操作過程で生じる誤診断や、電流による他の部品の故障
- 電流指令値 (車両側から発する充電電流に関する指令) に対する充電器側の電流の追従性
- 地絡の誤診断
これらをもとに、「EVと充電器双方にエラーが発生しないこと」及び「地絡発生後に正しく異常停止すること」を確認します。
EVの普及に欠かせない充電器のインフラ整備の状況
EVの普及には、充電器のインフラ整備が不可欠です。政府は「2035年までに、乗用車新車販売で電動車 (EV、FCV、PHEV、HEV) 100%」という目標のもと、電動車の普及状況を踏まえながら充電インフラの整備を推進しています。2023年10月に経済産業省が発表した「充電インフラ整備促進に向けた指針」において、充電器設置口数を「2030年までに30万口にする」という目標を掲げて、当初の「15万口」から倍増し、充電インフラ整備をさらに加速しています。
また、2024年4月の「充電インフラ整備促進に関する検討会資料」によると、2024年3月時点で、充電器の設置は急速・普通合わせて約4万口の充電器が整備されており、このうち急速充電器は1万口を超え、前年から1,100口数増加するとともに高出力化も進んでおり、50kW以上は2,000口近く増加したと報告されています。特に、ディーラー、コンビニ、高速道路で置き換えも進んでおり、今後ますます私達が安心してEVを利用できるようなインフラ整備が進むことが期待できます。
全国の充電スタンド情報は、情報サービスサイトで検索が可能です。代表的な検索サイトがCHAdeMO協議会のWEBサイトで紹介されていますのでご活用ください。
CHAdeMO試験ほか、e-Mobility関連製品の試験・認証に関しては下記よりお問合せください。