【プレスリリース】UL、製造者と消費者の製品に対する意識を解明する世界調査を実施
~ 第2回年次調査(2012年)の結果では楽観主義が後退、サプライチェーンの透明化が加速、品質重視への姿勢が明白に~
【2012年11月27日(現地時間) – 米国イリノイ州ノースブルック発】 米国の第三者安全科学機関であるUL Inc.(以下UL)は、製品の製造、販売、購入、消費に対する製造者と消費者の意識を解き明かす『Product Mindset』(製品に対する意識調査)の結果を発表しました。本調査は、ULが昨年に続き実施した第2回目の世界調査として、米国、中国、ドイツ、インドの4カ国を対象とし、製造者および消費者への聞き取り調査に基づきまとめたものです。今年の調査では急速な楽観主義の後退とともに、品質・安全・環境に対する期待が高まっていることが浮き彫りとなりました。これらの期待には、消費者が求める高い信頼性とコスト効率の良い製品の提供が含まれ、製造者が注力するトレーサビリティと資材調達におけるサプライチェーンの動きをさらに複雑にしています。
ULのCEOであるキース・ウィリアムズは、「昨今の不安定な世界情勢の影響により、消費者だけでなく企業の製品製造・使用に対する姿勢はかつてないほど慎重になっています。消費者が求める透明化の声に応え、サプライチェーンに関する多様な情報を公開する製造者をよく目にするようになりました。現在では、製品が何処でどのように作られ、製品に何が含まれているかを示すことが最重要課題になっています」と述べています。
本調査では、これまでと同様に製品の安全性が基本であること、製造者の経営並びに製品特性における環境への配慮の重要性が、さらに高まっていることを示しています。また、部品ならびに原材料の調達を含め、製造される製品の出自がますます問われるようになってきていることが注目に値します。
ULのチーフ・ストラテジー・オフィサーであるクライド・コフマンは、「今年の報告書では、サプライチェーンの問題が世界中の製造者だけでなく、先進国ならびに新興国の消費者にとっても重要な関心事であることを明らかにしています。また、今後数年間においてサプライチェーンの問題が、更に一層加速することを強く示唆しています。購入、使用する製品の品質、安全性を重視する消費者の期待に応えるために、製造者が一層努力すると考えられるためです」と述べています。
本調査から得られた主な洞察
- 製造者は、経営、品質を改善し、価格を低減させるため、複雑さを増すサプライチェーンを戦略的に管理してきている。その結果、新しい国を加えたグローバル調達が更に進むと考えている。
- 消費者は、製品や部品がどこで製造されるか、また、製造者とその資材供給者(サプライヤー)が従業員に対し、倫理面からみて適正な労働環境を提供しているか、といったサプライチェーンに関わる国際的な問題に対する知識を深めている。更に、製造者は製品、部品、原材料の調達における透明性確保に対する圧力をますます感じている。
- 製造者は、消費者にとって製品安全の重要度が増し、安全対策を講じることが事業を成功させる上で極めて重要であると考えている。
- 製造者が最良の原料、材料、部品を使って製品を製造していると考えている消費者は少数。
- 先進国および新興国の製造者はともに、新興国よりも先進国から調達した原材料の方が高品質であると考えている。
2012年版『Product Mindset』(製品に対する意識調査)で注目すべき結果
製造者は、サプライチェーンの加速するグローバル化、複雑化に圧力を感じている
- 資材調達におけるグローバル化が加速する中、製造者の46%が今後5年間に自国外からの調達を増加させることを検討している。その内の79%は、既存の調達国からの移行ではなく、新しい国を追加しようとしている。
- 43%の製造者は、自社の新市場への進出能力にあまり満足していない。
- 76%の製造者は、グローバル調達が製品品質を向上させる手段になりうると考えている。この項目は、前年と比べ19%増加しており、製造者が、不安定で経済的にも厳しい世界市場において競争力を高める必要があると考えていることを反映している。
- 最良の原料、材料、部品を使って製品が作られていると信じている消費者は30%にすぎない。
- 57%の消費者が、自分達が購入する製品の製造国を認識している。その一方で、62%の消費者が、製品の組立て地より、その部品の原産地を知ることの方が重要と考えている。
- 44%の消費者が、製品の原産地を知ることの重要性は今後5年間でさらに高まると回答している。
- 平均で48%の消費者が、製造者とその資材供給者(サプライヤー)が、労働者の倫理的かつ公正な待遇に加え、職場の安全確保に十分な対策を講じていないと感じている。
- 中国では4分の1以下(24%)、インドでは半数以下(40%)の消費者が、製造者とその資材供給者(サプライヤー)が、労働者の倫理的かつ公正な待遇に加え、職場の安全確保に十分な対策を講じていないと考えている。米国の65%、ドイツの消費者の64%に比べ、対照的である。
品質は引き続き重要な牽引役
- 製造者は、今日の成功をもたらした最も重要な要因として、「品質」を挙げており、それは将来も変らないと考えている。
- 38%の製造者が、消費者にとって最も重要なことは「品質」であると回答している。
- 91%の製造者が、製品に対する性能試験の重要性が増していると考えている。
- 消費者は、購入製品を決定する一番の要因として、「品質」を挙げている。
- 食品、建材、ハイテク機器、スマート機器の各分野において「品質」は、消費者にとって最も重要な製品情報として、一位または二位に位置づけられている。
消費者の知識レベルの向上
- 製品安全の課題として、ハイテク機器ではオンライン・セキュリティ、住宅用建材では有害排出物質および室内空気汚染を第一の懸念事項であると回答し、消費者は製品分野により、やや異なる見解を示している。
- 消費者は、身の回りで頻繁に使用される製品の安全性をより重視する。製品安全を重要だとする順位は、生鮮品(29%)、加工食品(27%)、住宅用建材(23%)、ハイテク機器(10%)、スマート機器(9%)となっている。消費者が、食品や建材の購入を検討する際、最も必要とする情報は製品安全だが、AV機器やスマート家電の購入を検討する際に必要とする3大情報の中に製品安全は含まれていない。
- 製造者の68%が、製品に含まれる原材料や部品に関する情報を消費者に明示することが大切だと考えている。
調査方法
本調査は、世界規模の定量調査として独立系調査会社により2012年春に実施されました。中国、ドイツ、インド、米国の消費者1,201名および製造者1,202社を対象とし、安全・性能・技術革新・持続可能性に関する様々な項目に関する、聞き取り調査を実施しました。調査対象となった製造者は、ハイテク機器(IT/AV 機器)、食品、スマート機器、建材業界から抽出し、電話による聞き取りを行いました。消費者には、聞き取り形式のオンライン調査により実施しました。
『Product Mindset』(製品に対する意識調査)の報告書の全文(英語版)は、こちら をご覧ください。
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【株式会社UL Japanの概要】
株式会社UL Japanは、米国の世界的な第三者安全科学機関であるULの日本法人として、2003年に設立されました。現在、ULのグローバル・ネットワークを活用し、北米のULマークのみならず、日本の電気用品安全法に基づいた安全・EMC認証のSマークをはじめ、欧州、中国市場向けの製品に必要とされる認証マークの適合性評価サービスを提供しています。詳細はウェブサイト(UL.com/jp)をご覧ください。
【ULの概要】
ULは、100年以上の歴史を持つ世界トップクラスの第三者安全科学機関です。世界46カ国に約9,000名の専門家を有するULは、製品安全(Product Safety)、環境(Environment)、ライフ&ヘルス(Life and Health)、セミナー・情報提供(Knowledge Services)、検査・検証(Verification Services)のサービスを提供する5つの事業部門を設置し、拡大する顧客のニーズに対応すると共に、公共安全というミッションに向けた活動を展開しています。詳細はウェブサイト(UL.com)をご覧ください。
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