EUの包装材規則について議会の正式承認 (2024-12 Update)
EUの包装材規則について理事会承認も完了、官報掲載へ (2024-12 Update)
欧州連合理事会は、2024年12月16日付プレスリリースで、新・包装材規則 (Packaging and Packaging Waste Regulation、通称PPWR) の採択を発表しました。
2022年11月の最初の草案公表以降、修正検討が重ねられたこの法案は、すでに議会・理事会間で2024年3月に暫定合意が結ばれております。法の採択に向けてEUでは議会と理事会それぞれの採択・承認が必要となっているものの、議会は2024年4月に採択済であったため、今回の理事会採択をもってこの立法プロセスは最終局面を迎えました。
今後のスケジュール
官報への掲載がされて以降、20日で規則は発効されます。さらにその後18か月で施行され、順次要求事項が適用されていく予定です。仮に2025年前半に官報掲載される場合は、2026年中に施行が見込まれます。
規制の対象
現行法である「包装材指令(94/62/EC、通称PPWD)」で規定されるのと同じく、EU域内に持ち込まれるあらゆる包装材(Packaging)が規制の対象です。使用される材料を問わず、また使用・発生する分野も問わずに、商品の封入・保護・取り扱い・輸送および提示を目的に意図される物品をすべて対象とすることから、大変幅広いものを対象にしています。
要求事項
包装材の設計に直接関係する、製造者の責任で適合させる必要のある要求事項は、以下の通りです。多くの要求事項は、包装材指令には設定されていない要求事項であるため、適合のためには包装材の設計から見直しが求められると考えられます。
Article 5: Requirements for substances in packaging 有害物質の制限
Article 6: Recyclable packaging リサイクル可能性
Article 7: Minimum recycled content in plastic packaging リサイクルプラスチック材の含有割合
Article 9: Compostable packaging 堆肥可能な包装
Article 10: Packaging minimisation 最小化
Article 11: Reusable packaging 再利用可能性
Article 12: Labelling of packaging ラベル表示
各要求事項への適合は技術文書にまとめ、適合宣言書(DoC)を作成することも求められます。
UL Solutionsの関連サービス
包装材規則に関する弊社サービスの最新情報をご希望の場合は、ご要望のサービス内容やお客様のお困りごと、対応状況等を下記お問合せ先にご連絡いただけましたら、弊社より折り返しご案内いたします。
- 全要求事項リストのご提供
法文(案)について、ポイントをとりまとめたリストをご提供いたします。これにより、要求事項によって細かく規定されている「開始日」や「対象・除外となる包装材」、要求事項の実施に向けて必要となる「運用・詳細を定める下位規則の策定予定」を把握し、法の全体像の把握を可能とします。 - 要求事項への適合サポート
Article 5の含有物質の確認試験や、Article 7のリサイクルプラスチック材含有率を示す第三者検証など、各項で規定されている要求事項への適合のためのサポートを提供可能です。ご要望の場合は、具体的な対象項・要求事項を特定のうえ、どのようなサポートをご要望かお伝えください。
お問合せ先
環境・サプライチェーン事業部 ULShimadzu@ul.com
EUの包装材規則について議会の正式承認 (2024-04 Update)
欧州連合議会は2024年4月24日付プレスリリースで、新・包装材規則 (Packaging and Packaging Waste Regulation、通称PPWR) の採択を発表しました。
詳細につきましては、下記のウェブページをご参照ください。
今後のスケジュール
欧州連合理事会も、欧州連合議会と同様に正式採択のための承認を行ったうえで、EU官報に掲載され、規則発効に至る予定です。
お問合せ先
環境・サプライチェーン事業部 ULShimadzu@ul.com
EUの包装材規則の正式採択に向けた議会・理事会の暫定合意 (2024-03 Update)
欧州連合議会と欧州連合理事会は2024年3月4日付プレスリリースで、提案されている新・包装材規則 (Packaging and Packaging Waste Regulation、通称PPWR) について暫定合意に達したと発表しました。
詳細につきましては、下記のウェブページをご参照ください。
現行の包装材指令を置き換えるこの新法は、包装材の再使用・再充填や、包装材の使用量を減らす設計、プラスチック包装中のリサイクルプラスチック含有目標等の要求事項を盛り込んだ内容で2022年に最初の草案が発表されています。
そして上記のプレスリリースでも、これらの要求事項は合意された措置に含まれていると記載されています。
つまり包装材の設計にも踏み込んだ新たな要求事項が盛り込まれ、製造者から販売・流通者までが協力して適合させることが求められる内容になることが予想されます。
今後のスケジュール
暫定合意に対して、議会と理事会が正式に承認を得た後、さらに両機関によって正式採択を行います。
その後、EU官報に掲載され、規則発効後18か月で適用される、とあります。
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EUの包装材規則採択に向けた議会・理事会の法案採択について (2023-12)
欧州連合議会(EU Parliament)は2023年11月22日に、また欧州連合理事会(EU Council)は2023年12月18日に、各プレスリリースで「包装材規則」の制定に向けた規則草案の修正案の採択を発表しました。
詳細につきましては、下記のウェブページをご参照ください。
背景「包装材指令」から新法「包装材規則」へ
現在EUでは、Directive 94/62/EC(通称:包装材指令Packaging Directive)を施行し、包装材に対する有害化学物質の含有制限、材質表示および生産者責任に基づく回収・リサイクルといった義務を設けています。
しかし、増加し続ける包装材およびプラスチックに対しては、廃棄物発生の抑制や持続可能な使用を実現する、より強固な規制措置に落とし込む必要がある、と新循環型経済行動計画(New circular economy action plan)には掲げられています。
そのため、現行の包装材指令を廃止して全面的に置き換える新法を設け、包装材のライフサイクル全体にわたって要求事項を定めてラベル表示要求も強化することで、より強固に包装材の循環経済を構築し、非持続可能な包装材を廃止する取り組みが始まっています。それがRegulation on Packaging and Packaging Waste、通称「包装材規則 (PPWR)」です。
2020年6月にこの新法の制定に向けた取り組み・全体ロードマップが公表され、2022年11月には規則案が公表されました。
https://ec.europa.eu/info/law/better-regulation/have-your-say/initiatives/12263-Reducing-packaging-waste-review-of-rules_ja
要求事項(案)
規則案では、対象となるのは材質や発生源、用途も問わないすべての包装材(all packaging)となっており、現行の包装材指令の要件に加え、以下のような幅広い要求事項が網羅されています。
- リサイクル可能:リサイクル性を考慮した設計
- 再生プラスチック材の使用:プラスチックの再生材使用率の遵守
- 発生の最小化:包装材の使用が最小化されていることを重量・体積から評価
- 再利用と再充填:再利用・再充填を考慮した設計と安全性との両立
- 表示:再利用性に関するラベルとQRコード
また表示以外は技術文書にて適合内容をまとめる必要がある、といった記載もあり、適合確認のための評価も重要となる見込みです。
今後のスケジュール
上記の通り、2023年11月・12月に欧州議会および理事会がそれぞれの修正案を公表したため、今後は双方の修正案に基づく交渉に入り、最終規則案としてまとめなおす作業に入ります。
その最終規則についても議会と理事会がそれぞれ署名したうえで、官報に掲載され、正式施行を迎える予定です。
UL Solutionsのサービス
EUの包装材規則に関しては策定の検討の動向をいち早く、かつ正しくキャッチしていただくことが重要と考えます。弊社では、規則策定に向けた規制動向の情報提供をしております。
また、規則制定の動向を踏まえながら、お客様のニーズに合わせ、規制調査に基づく情報提供サービスや各種要件の適合確認のための評価試験、文書作成支援サービス等を提供します。
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