2020年11月30日
(2020年10月13日発表抄訳版)
株式会社UL Japan

~ANSI/CAN/UL 9540A規格の熱暴走に起因する火災類焼評価試験を実施した
蓄電システム製造者の登録・閲覧用オンラインデータベースの開設~

イリノイ州ノースブルック 2020年10月13日 – 米国の第三者安全科学機関であるULは、蓄電システム(BESS: Battery Energy Storage System)における熱暴走火災類焼評価試験方法を規定するANSI/CAN/UL 9540A規格に基づき試験を実施した製造者を検索することができる無料のオンラインデータベースの提供を開始したと発表しました。このデータベースでは、セル、モジュール、ユニット、または設置レベルでの熱暴走火災類焼についてULにより評価を受けた製造者が、1) 試験の詳細を入手するための連絡先を含むモデル番号、2) UL 9540Aレポートの要約、または3) 同レポートの全文、のいずれかの方法でデータを共有できます。

ULのウェブベースの情報提供サイトProduct iQ™のプラットフォームを利用したUL 9540A試験データベースは、エンジニア、電力事業者、開発者、規制当局、保険会社などの専門家が、その製造者の製品がBESSの設置、換気要件、防火、消防方針や方法など、建築基準法や消防法で特定されている主要な懸念点に対応しているかどうかを確認することができます。

ULのエナジーシステム・e-モビリティグループの事業開発エンジニアであるモーリス・ジョンソンは、「試験方法を規定するUL 9540Aは、認証やULマーク、合否結果を提供するための規格ではありません。UL 9540A試験で得られる情報は、BESSの安全な設置や使用方法を検討する上で重要な判断材料となります。ULはバッテリーおよび蓄電システムで熱暴走火災類焼評価試験を実施していることを製造者に共有する最適な方法として、UL 9540A試験データベースを提供します。」と述べています。

UL 9540Aに規定されている試験方法は、蓄電システムおよび機器の安全性に関する米国およびカナダの国家規格であるUL 9540、国際基準評議会(ICC)国際防火基準(IFC)、全米防火協会NFPA 855 (Standard for the Installation of Stationary Energy Storage Systems:定置用蓄電システム設置基準)、地方や州による要求、および国際的な建築・消防法の中で参照されています。この試験方法は、システムの稼働中に熱暴走が発生した場合のBESSの火災安全性能を明確にすることを目的としています。2017年に初版が発行されて以来、ULは防火・電池の専門家、システム・機器メーカー、規制当局、その他関係者と協力し、関連する規制に従って、BESSにおける熱暴走火災類焼を評価するために確立されたプロトコルとすべく、UL 9540Aの試験方法の見直しを重ねてきました。

ULのお客様であるナトロンエナジー社のコリン・ウェッセルズCEOは次のように述べています。「当社のお客様は、重要なデータベースや通信インフラに電力を供給するために、最も安全な電池を必要としています。そのため、ULの厳しいUL 9540A火災試験に見合ったナトリウムイオン電池を完成させました。当社はUL 9540Aデータベース上で試験レポートを公開した最初の電池セルメーカーとなりました。」

エンフェーズ・エナジー社の共同設立者兼最高製品責任者であるラグー・ベルアー氏は、次のように述べています。「当社にとって、製品の安全は至上命題であり、新しい規格であるUL 9540Aは、蓄電業界全体の説明責任を確保する上で非常に重要なものです。ULとの長年にわたる関係を誇りに思うとともに、BESSの安全性を評価するための規格策定へのご協力に感謝しています。」

「UL 9540Aの試験方法は蓄電装置の計画や設置にあたり、エンドユーザーや規定執行官(AHJ)が電池の安全性に関して拠り所となる重要な情報を提供しています。」と、ジンクファイブのティム・ハイセル最高経営責任者(CEO)兼共同設立者は述べています。また、「UL 9540A試験方法には、追加の安全制御を行わずに電気化学レベルで試験が実施できる検証済みバッテリーのセルレベルでの試験が含まれています。セルレベルで熱暴走を示さない電池の基本的な安全性は、蓄電業界にとって重要な情報です。」と付け加えています。

「UL 9540A試験データベースは、www.UL.com/ul9540a-databaseへアクセスください。蓄電システム製造者がデータベースへの登録を希望する場合、こちらから登録フォームをダウンロードして、お申込みください。

 

【UL の概要】
UL は、科学の活用によって安全、セキュリティ、サステナビリティ(持続可能性)における課題を解決し、よりよい世界の創造に寄与します。そして、先進的製品/技術の安全な導入を実現することで、信頼を高めます。UL のスタッフは世界をより安全な場所にするという情熱を共有しています。第三者調査から規格開発、試験、認証、分析/デジタルソリューションの提供まで、UL は業務を通じて、より健全なグローバル社会の構築を目指します。 UL に対する信頼が、企業、メーカー、政府当局、規制機関、人々のスマートな決断を支えます。詳細はUL.comをご参照ください。ULの非営利分野の活動につきましては、UL.orgをご覧ください。

【株式会社UL Japan の概要】
株式会社UL Japan は、 世界的な第三者安全科学機関であるUL の日本法人として、 2003 年に設立されました。 現在、 UL のグローバル・ネットワークを活用し、 北米のUL マークのみならず、 日本の電気用品安全法に基づく安全・EMC 認証のPSE およびS マークをはじめ、 欧州、 中国市場向けの製品に必要とされる認証マークの適合性評価サービスを提供しています。 詳細はウェブサイト( https://japan.ul.com/ )をご覧ください。

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