2015年10月21日
(2015年9月16日米国発表抄訳版)

米国の第三者安全科学機関であるUL Inc.(本社:イリノイ州ノースブルック、以下UL)は、米国エネルギー省が進める「サンショット・イニシアティブ」より135万米ドル(約1億6000万円)の助成金を得て、PVモジュールの材料の性能と信頼性を長期的に予測する新たな科学的方法の開発を推進していくと発表しました。主要な 調査会社/研究所の協力を得て進められるこのプロジェクトは、PVモジュール内の高分子バックシートの実環境における長期的信頼性を、試験所で実施する加速寿命試験のデータと照合して究明することを目標としています。

バックシートが設置後まもなく目に見えて劣化することを指摘したレポートは数多くあります。これは、市場からのコストダウンの圧力や、耐久性の証明が不十分である材料の使用や混合を余儀なくされるような性急な製品開発、さらには、現行の試験項目に実際の設置環境条件での長期耐久性が含まれていないことが原因であると言えます。

この「サンショット・イニシアティブ」による助成は、PVモジュール内のバックシートの実際の劣化との相関を明らかにすることを目的として、試験所で実施する加速寿命試験に対して行われます。この試験結果は、モジュール製造業者にとって設計戦略の最適化に役立ちます。これに加えて、このプロジェクトの結果は、バックシートの信頼性についての理解を深め、PVモジュールの信頼性予測の不確実性を低下させ、太陽光発電所のオーナー、運営者、保険事業者に大きな価値を提供します。

ULエネルギー&パワーテクノロジー部門のバイスプレジデント兼ゼネラルマネージャーであるリサ・サリーは、次のように述べています。「PVの材料の性能予測は、製造会社から、開発業者、投資者、保険会社まであらゆる人に影響します。ULは優秀で著名な科学者から成るチームを組んでこのPVの材料の性能予測について研究を行います」

バックシートは、モジュールの背面を覆う薄いプラスチックの多層シートで、高電圧部分から人々を守ると共に、パネル内の部品を紫外線ならびに自然環境から保護しています。高分子バックシートは、屋外に設置されているPVモジュールの性能維持に重要な役割を果たすと共に、電気的絶縁を達成することで安全性を担っています。このプロジェクトでは、実環境の中で経年劣化したモジュールと試験所で試験したモジュールを調査し、新たなモデルを策定することで、様々な環境に設置されるモジュールの長期的信頼性と耐久性に大きな影響を与えるバックシートの特性を明らかにします。このリサーチ結果は、製造者がどの材料を自社の製品に組み込むかを決定する際にも役立つと共に、劣化は直線的に起こるとした現行モデルに存在する不確実性を大きく低下させ、PV業界全体がその恩恵を受けることができます。

ULエネルギー&パワーテクノロジー部門のプリンシパル・エンジニア・マネージャーであるケン・ボイスは次のように述べています。「このプロジェクトでは、試験所で得たデータと、実際に設置されたモジュールから集めたデータの相関関係を調べます。これにより、製品ライフタイムでの性能をより正確に予測可能な現実に即したモデルを開発することができます」

ULはこのプロジェクトを、3M社、アケマ社、ケース・ウェスタン・リザーブ大学、米国再生エネルギー試験所(NREL)、米国標準技術局(NIST)、ノースイースタン大学と提携して進めます。

途中経過は、ホワイトペーパー、オンラインセミナーや会議などを通じて発表される予定です。

 

【サンショット・イニシアティブの概要】

米国エネルギー省が進める「サンショット・イニシアティブ」は、太陽光エネルギーを10年以内に従来のエネルギーと価格面で競うことが出来るようにするためのイノベーションを積極的に推進する国家プロジェクトです。エネルギー省は、サンショットを通じて企業、大学、国立研究所による太陽光発電電力を6セント/kWhまで下げる取り組みを支援しています。詳細はウェブサイト(www.energy.gov/sunshot)をご覧ください。

【株式会社UL Japanの概要】

株式会社UL Japanは、世界的な第三者安全科学機関であるULの日本法人として、2003年に設立されました。現在、ULのグローバル・ネットワークを活用し、北米のULマークのみならず、日本の電気用品安全法に基づく安全・EMC認証のSマークをはじめ、欧州、中国市場向けの製品に必要とされる認証マークの適合性評価サービスを提供しています。詳細はウェブサイト(www.UL.com/jp)をご覧ください。

【ULの概要】

ULは、認証、試験、検査、アドバイザリー/トレーニング・サービスの提供によって、120年以上にわたり、発展を遂げてきた世界的な第三者安全科学機関です。人々に安全な生活/職場環境をもたらすというミッションの下、10,000名を超えるプロフェッショナル・スタッフを擁するULは、調査/規格開発活動を通じて、安全において進化し続けるニーズの継続的促進と対応に取り組んでいます。そして、製造企業をはじめとする各種企業、貿易団体、国際的規制機関のパートナーとして、複雑さを増すグローバル・サプライチェーンに対するソリューションを提供しています。詳細はウェブサイト(http://www.UL.com )をご覧ください。

 

【本件に関するお問い合せ先】

株式会社UL Japan
マーケティング部  担当:山崎 Tel: 03-5293-6031 Fax:03-5293-6001

株式会社UL Japan 広報代理 フォーカスト・コミュニケーションズ株式会社
担当:水本・高森 E-mail: ul_pr_japan@focused.co.jp Tel: 03-6809-2500 Fax:03-6809-2501