EUの電池規則採択について
EUの電池規則の実施遅延に関する改正について(2025-07 update)
EU委員会は2025年5月21日に、電池規則を始めとする企業への管理要求を緩和することよって、企業負担を緩和する措置である「簡略化オムニバス第4弾(simplification omnibus IV)」を発表しました。
EU規則の簡素化によって、企業の年間管理コストの軽減と、行政負担の軽減を実現するための取り組みです。
そのため電池規則(EU) 2023/1542に関しては、以下の改正規則案が公表されています。
特に2025年8月開始を予定していたデューデリジェンスの義務開始に関して、2年遅延される内容となっています。
これはデューデリジェンスの監査を行える認証機関の認可が確認できないことや、当初2025年2月までに公表されるとしていたデューデリジェンスのガイドラインが未発表である等、2025年5月末時点で当局側の対応が遅延している現状を反映したものとも言えます。
改正案1:COM (2025) 258 final, 2025/0129 (COD)
Article 48で要求されるデューデリジェンス要件のスケジュールに関する改正
- デューデリジェンス義務の開始を2025年8月18日から2027年8月18日へ変更する(2年の遅延)
- デューデリジェンスのガイドラインの公表を2025年2月18日から2026年7月26日へ変更する(約1年半の遅延)
改正案2:COM (2025) 501 final, 2025/0130 (COD)
- デューデリジェンスの義務の対象者を、「純売上高4000万ユーロを超える経済事業者」から「純売上高1億5000万ユーロを超える経済事業者」へ範囲縮小する
- デューデリジェンスポリシーの報告書の継続的な見直し頻度を、毎年から3年に一度に下げる
改正案3:COM (2025) 504 final, 2025/0134 (COD)
適合性評価に関する資料等の情報の作成・提供が電子形式であることを規定
弊社では引き続き、電池規則の認証機関としての認可取得に向けて上記のような情報収集および対応を進めてまいります。
認証機関の申請に関するガイドラインが発行および認可申請に関しては、進捗を核にできましたら改めてご案内させていただく予定です。
お問合せ先
環境・サプライチェーン事業部 ULShimadzu@ul.com
EUの電池規則、認証機関 (NB) の認可取得状況について (2024-07 update)
EUの電池規則 ((EU) 2023/1542) の発効から1年を迎え、2024年8月18日からCEマーキング等の複数の要求が開始される状況にあります。これに伴い、認証機関 (Notified Body: NB) による第三者適合検証が要求されることになります。この業務を担う認証機関の認可取得状況についてお知らせいたします。
新しい電池規則では、以下の条項において認証機関による第三者検証が必須とされています。
- Article 7: カーボンフットプリント
- Article 8: 活物質のリサイクル含有割合
- Chapter VII: デューデリジェンス条項 (年間売上高 4,000万ユーロを超える企業向け)
またその他の条項 (Articles6、9、10および12~14) にも、任意で適合評価に認証機関の検証を用いることが可能です。
当該規則に対する第三者検証を担う認証機関として活動するためには、Article 25の要求を満たす第三者機関として当局の認可を受けることが要件となっており、現在、その前提となる認可を受けるための申請に関するガイドラインの発行を待っている状態です。
EU当局が認可した認証機関は、下記のEU委員会のNANDO (New Approach Notified and Designated Organisations) のウェブサイトに掲載されます。電池規則に関しては、認証機関登録手続きに関するガイドラインが未発表のため、7月末現在、登録されている認証機関はございません。
認証機関の申請に関するガイドラインが発行されましたら、改めてご案内させていただく予定です。
また、弊社では、電池規則に関するお客様のご要望にシームレスにお応えすべく、下記のサービスは提供しておりますので、お気軽にご相談ください。
- 要求事項調査
複数の分野にわたる要求事項の概要、対象となる電池の種類、開始日を一覧にとりまとめて提供いたします。 - デューデリジェンスの導入に向けたトレーニング
デューデリジェンス要件に関する概要理解のため、基本情報をまとめた社内トレーニングを提供します。
お問合せ先
環境・サプライチェーン事業部 ULShimadzu@ul.com
EUの電池規則の正式発行、官報掲載について (2023-08 update)
2023年7月10日の電池規則のEU理事会による規則採択の旨を下記にてお伝えしておりましたが、その後規則番号 (EU) 2023/1542として、2023年7月28日付官報への掲載を確認いたしました。
(EU) 2023/1542 Regulation on batteries and waste batteries
官報掲載日から20日後の2023年8月17日に電池規則は発効されます。
ただし要求事項については、法文の各項の記載に基づき、順次要求開始となる予定です。
お問合せ先
環境・サプライチェーン事業部 ULShimadzu@ul.com
EUの電池規則採択について(2023-07)
欧州連合理事会(EU Council)は、2023年7月10日付で電池規則の採択を発表しました。詳細につきましては、下記のウェブページをご参照ください。
「電池指令」から「電池規則」へ
EUが現在進めている環境施策の「Green Deal」の考え方に基づき、電気的性能や企業の社会的責任を課すデューデリジェンスなど、他分野を包括的に網羅した要求内容へ変わることが、最も大きな特徴と言えます。
また2023年7月現在施行されている「電池指令(Directive)」においては、加盟国に対し国内法を整備するなどの要件が課されておりますが、「電池規則(Regulation)」へ置き換えることで、直接事業者に要件を課すものへ変わり、その施行力がより強化されることとなります。
対象となる電池
EUで販売される全ての電池でその用途・種類を問わず、機器に内蔵され上市される場合も対象です。
また本改正によって対象電池に「電気自動車(EV)用電池」が加わります。
要求事項
従来の含有化学物質制限およびリサイクルの要件に、様々な分野の要求事項が加わります。たとえばカーボンフットプリント、リサイクル材の使用、電気的性能および耐久性といったものです。
また適合内容を技術文書にまとめあげることが求められており、QRコードでアクセス可能な電子情報の「電池パスポート」上で必要情報を共有することも要求されているため、適合およびその開示まで含めたアクションが必要となります。
サプライチェーンを繋ぐ「デューデリジェンス」として、調達・生産といった活動における社会的責任を果たしていることを示すべく、第三者の検証を受けたうえでその監査報告書の開示も求められます。
今後のスケジュール
今後理事会および欧州議会(European Parliament)によって署名された後、官報に掲載されます。
官報に掲載後20日で電池規則は発効しますが、各要求事項は法文の各項の記載に基づき順次要求開始される予定です。
UL Solutionsのサービス
EUの電池規則に関しては、詳細規定は下位規則を参照することが求められる構成になっています。弊社では、下位規則の制定の動向を踏まえながら、お客様のニーズに合わせ、規制調査に基づく情報提供サービスや各種要件の適合確認のための評価試験、文書作成支援サービス等を提供します。
電池規則に関する弊社サービスの最新情報をご希望の場合は、下記情報を添えてお問合せ先にご連絡いただけましたら、弊社より折り返し案内させていただきます。
- 製品情報(電池製品もしくは電池内蔵の機器に関する情報)
- ご要望されるサービス内容
お問合せ先
環境・サプライチェーン事業部 ULShimadzu@ul.com