欧州の新しい単一照明効率規制である(EU)2019/2020と、関連する光源のエネルギー表示規制の(EU)2019/2015が2019年12月25日に発効しました。幸いなことに、2021年9月1日の期限まで、要件を遵守するための時間はまだ残されています。照明業界は、ステップバイステップで、変更点を認識しておく必要があります。

 

(EU)2019/2020:光源と分離型制御装置のエコデザイン要求

新たな基準に関して、現在、照明製品は、3つの指令(EC)244/2009、(EC)245/2009、(EU)1194/2012からなる欧州のエコデザイン要件に準拠しなければなりません。そして、これら3つの指令はすべて、2021年9月1日までに上述のエコデザイン指令(EU)2019/2020 (単一照明規制(SLR)として知られている)に置き換えられなければなりません。これまで既存の指令のなかで用いられていた「ランプ」や「照明器具」といった用語は、「光源(light sources)」や「含有製品(containing products)」に置き換えられます。これは、欧州委員会が製造業者に、従来のようにランプを交換して器具を再利用し、リサイクルの場合には簡単に分解できるような、より循環型経済のアプローチにコミットするように動機付けようとしているからです。その結果、交換不可能なLEDモジュールを組み込んだ照明器具は、指令で定められた「光源」とみなされます。一般的に、すべてのLEDベースの「含有製品」は、技術的な正当性がない限り、特定の脱着性と交換性の要求を遵守しなければなりません。この技術的な正当性の証明は技術文書の一部とする必要があり、そうでなければヨーロッパでの製品の販売は禁止されます。さらに、さまざまなタイプの光源が段階的に廃止されます。例えば、ハロゲンR7s>2700 lmランプは2021年9月1日から廃止され、G9 -、G4 -、GY6.35口金付きランプおよびT8蛍光ランプは2023年9月1日から廃止されます。

また、重要なのは棚やオーブン、冷蔵庫などで使用される光源が交換不可能な場合、これらの家電製品や家具は「光源」となり、指令を遵守する必要があるということです。

ほとんどの光源については、光束出力と演色性(CRIが80以上であることが必要)にもよりますが、現在、最小の効率が100 lm/W以上、ネットワークの待機時消費電力は0.5W以下である必要があります。LEDおよびOLEDのための基本波力率、光束維持率および生存率によって定義されるより多くの機能的な要求もあります。光源の色の一貫性を管理するために、MacAdam楕円の最低でも6ステップ内であることを定めることは、容易に達成可能であるようにも思われますが便宜的ではありません。一方で、フリッカーおよびストロボ効果が考慮されており、これらの要求は、より良い光品質を作る上で有益となります。

制御装置の場合、それらが設計されている光源、タイプ、およびワット数に応じて、最大負荷時の最小エネルギー効率が規定されています。

 

(EU)2019/2015:光源のエネルギーラベル表示

上記の単一照明効率規制((EU)2019/2020)に合わせて、光源のエネルギーラベルに対する新規制が制定されました。既存のエネルギーラベルのA++~Eのスケーリングは期限切れとなり、A~Gのラベルへの変更が行われます。例えば、指向性のない光源は、この規則の適用後(2021年9月1日)にDまたはEグループに入ることになります。210 lm/Wの効率クラスAに到達するまで、効率改善の余地と時間は十分にあると考えられます。

単一照明効率規制((EU)2019/2020)と同様に、エネルギーラベル規制は 2021 年 9 月 1 日から適用されます。ただし、この規制の第3条の第2項及び第4条の第2項は直ちに適用されることに注意する必要があります。その結果、照明器具は、エネルギー効率についての表示をしなくてもよいことになります。しかし、2021年5月1日には、すべての光源にラベルを貼付し、その技術情報を欧州エネルギー表示製品登録(EPREL)データベースに登録する必要があります。この要件は、欧州で販売されているランプにはすでに存在しており、光源にも拡大されるということになります。もし、製造業者が「交換不可能なLEDモジュールを組み込んだ照明器具」の販売を決定した場合、それは光源として登録されなければなりません。家電製品や家具メーカーが非交換型モジュールの使用を決定した場合でも、データベースが利用可能になるまでにこれらの製品を登録しなければなりません。

その意図は、市場監視当局が製品の全体像を把握できるようにすることです。エンドユーザーは、データベースの公開部分にアクセスし、製品の効率に関する情報を入手することができます。新エネルギーラベル上に必須要求されるQRコードは、EPRELデータベースの特定の製品情報ページにつながることになります。

オリジナル(英文):https://www.ul.com/news/european-single-lighting-regulation

ULでは、新たな効率規制に対する評価を承っております。詳しくは下記までお問合せください。

 

お問合せ先

e-mail : ULJ.AHL@ul.com
TEL : 03 – 5293 – 6200  (担当:石塚)

 

| UL Japanトップページ | 産業用・商業用機器トップページ照明機器向けサービス |