Wi-Fi 6E対応製品における6GHz帯の周波数解放に伴い、ポータブル機器に関してSAR評価以外の人体ばく露評価項目が導入されました。
Wi-Fi 6E対応製品に対する人体ばく露評価

Wi-Fi 6E対応製品に対する各国の人体ばく露の規制状況

人体ばく露評価は、一般的に人体から20 cmを超える距離で使用されるモバイル機器と、人体から20 cm以下/未満の距離で使用され、人体に密着装着して使用されるポータブル機器に分類されます。各国の規定・規格に従って評価対象かどうかを確認し、必要に応じて人体ばく露評価を行います。

ポータブル機器における人体ばく露評価

ポータブル機器において人体ばく露評価が必要となる条件と閾値は下記となります。

日本 アメリカ1 カナダ 欧州 (EU/英国)
人体から20 cm以下の距離で使用される機器 (ポータブル)

かつ

6 GHz以下: 20 mW超
6 GHz超-30 GHz以下: 8 mW超

*閾値は平均電力で判断

人体から20 cm未満の距離で使用される機器 (ポータブル)

かつ

2.4 GHz帯: 2.8 mW以上
5.2 GHz-6 GHz以下: 1 mW超
6 GHz超: 1 mW超

*閾値はERPまたは平均電力のいずれか高い値で判断

人体から20 cm以下の距離で使用される機器 (ポータブル)

かつ

2.4 GHz帯: 3 mW以上
5.2 GHz-6 GHz以下: 1 mW超
6 GHz超: 3 mW超

*閾値はEIRPまたは平均電力のいずれか高い値で判断

人体から20 cm以下の距離で使用される機器 (ポータブル)

かつ

2.4 GHz-10 GHz 帯: 20 mW超

*閾値は総平均電力および/または放射電力で判断
(規格によって異なる)

  1. アメリカは現在KDB 447498 D01General RF Exposure Guidanceを改定中。表はFCC規則と暫定のKDB 447498 D04より作成。


人体からの分離距離と周波数毎のRF出力によって人体ばく露評価の要否が確認できます。またRF出力の閾値は国によって大きく異なります。
 

人体ばく露の評価項目の概要

各国が規定しているモバイル機器の評価項目に関して、日本では人体から20 cmを超える距離で使用されるモバイル機器の場合、人体ばく露評価は除外されます。アメリカ、カナダ、欧州においては人体からの分離距離に応じた閾値による除外可否の確認、または電解強度測定結果などから被ばく量の計算による検証を行います。

各国が規定しているポータブル機器の評価項目に関して、6 GHz以下の周波数については日本、アメリカ、カナダ、欧州共にSAR (Specific Absorption Rate: 比吸収率) の評価を要求しています。6 GHzを超える周波数については、日本はIPD (Incident Power Density: 入射電力密度)、アメリカはSARに加えてIPD、カナダはSARに加えてAPD (Absorbed Power Density: 吸収電力密度) の評価を要求しています。欧州に関しては6 GHz以下と同じでSARの評価のみ要求されています。

日本* アメリカ カナダ 欧州 (EU/英国)
6 GHz以下 SAR SAR SAR SAR
6 GHz超 IPD SAR + IPD SAR + APD SAR

*日本: Wi-Fi製品は、携帯電話等の広帯域通信機器など人体ばく露評価が要求されている機器と同一筐体内にあり同時に送信することが出来る場合に対象となる。
 

SAR、APD、IPD測定

SAR、APD、IPDともに測定プローブをロボットアームに取り付けて測定します。SAR、APD測定時はファントムの下に試験サンプルをセットし、プローブはファントムに挿入して測定を行います。IPD測定時は専用テーブル上に試験サンプルをセットアップします。なおAPDは8g平均のSARを測定でき、APDを計算できるアルゴリズムを備えているSARシステムが必要となります。

UL Solutionsでは最新のSAR、IPD、APD測定システムであるDASY8や電波法の認証評価で必要な測定機器を導入しており、Wi-Fi 6E対応製品に対して、日本・欧州・北米をはじめとする世界の各規格に対応した最新の無線試験及びSAR試験サービスを提供しています。


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